近年、京都大学の英語の入試問題は大きく変化しています。
今までは英語の日本語訳、日本語の英語訳のみという恐らく日本で最もシンプルな入試問題でしたが、最近は東大のように要約や自由英作なども問題に含まれるようになってきましたね。
さて今回はそんな京大英語の英作文を勉強する上での有用な参考書やその参考書の使い方などについて紹介していきたいと思います。
英作文の勉強っていつから始める?
英作文の勉強はいつ始めるべきかという問題。
これに関しては勿論人によるのですが、少なくとも直前期に詰め込む系の勉強は避けるべきです。
かといって誰もがいきなり今日から英作文の勉強を始められるかというとそうではない。
例えば単語を覚えるという勉強は事前知識なんて全く必要ありませんから早くからやったほうがいいですが、英作文は単語・文法などの前提知識が必要です。
英作文は単語・文法の運用能力がどれだけ高い水準であるかが重要です。
長文読解は英語→日本語の作業ですが、英作文ではその真逆の日本語→英語の作業です。
自分で英語の文章を書くことと英語の文章を読むことでは前者の方が難しいというのが普通だと思います。
そうすると単語の意味の定着度も勿論重要ですが、特に文法を疎かにしてしまうと、英作文問題の解説を読んでも疑問ばかりがでてきてしまって勉強にならないと思います。
単語帳一冊大体覚えて、文法も基本的なことなら知っているという状態になったら英作文の勉強をはじめていいと思います。
京大英語では英作文の配点は英語全体の三分の一を占めますし、なるべく早めに対策できるようにまずは単語・文法を全力で頑張りましょう。
本当に時間がない人
「単語・文法はある程度大丈夫だけど今まで全く英作文の勉強をしたことがない。何より時間がない。」
このように本当に切羽詰まった人で、何かしら一冊やっておきたいという人にオススメするのが『ドラゴンイングリッシュ』です。
ドラゴンイングリッシュは100個の例文が載っていて、それぞれの例文に文法の注意事項や熟語の説明などがのっています。
使い方は単純明快、100個の例文を丸暗記します。
勿論この例文がそのまま入試にでるということはありえませんが、単純に頻出の熟語表現を頭にインプットできますし、日本語訳するときの注意点なども意識できるようになります。
例分暗記は自由英作文でも威力を発揮する場面はあるでしょうし、英作文勉強において有用な勉強法だと思います。
時間のない人がどの参考書を使おうか迷ったらこの『ドラゴンイングリッシュ』で足掻くくらいしかできないでしょう。
他の参考書をやって中途半端で終わるよりも、重要ポイントを絞ったこの一冊をひたすら周回して完璧にするほうが良いです。
ある程度時間に余裕がある人
受験する年の夏前の時点で、ある程度単語も文法も習熟しているという人には解説が充実している『竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本』を薦めます。
竹岡広信氏はドラゴンイングリッシュの著者でもあります。
この本の良いところは実際の生徒の解答を載せて、よくある間違いの例文として紹介。それをどう直したら良いかというのを説明してくれているところです。
受験生がミスするポイントというのはある程度決まっているのでしょう。
この解答の何が駄目なの?という疑問が解決しやすくなっています。
問題数が例題・類題を合わせると180問くらいで、さらに解説も結構詳しめなので、ある程度時間に余裕がないとできないと思います。
また、近年京大は自由英作文も出すようになってきています。
自由英作文については『基礎英作文問題精講』をオススメします。
前半は『ドラゴンイングリッシュ』のように、短い文章から表現を学ぶ感じで、後半では自由英作の型であったり注意点であったりが書かれています。
ただし、和文英訳の勉強をある程度やった人はそんなに焦って自由英作を勉強する必要はないので、和文英訳の勉強に重点を当てるべきだとは思います。
時間をかけて基礎からじっくり実力錬成したい人
時間的余裕もあり英語が結構得意で、英作文に多くの時間がさける/さきたいという人にオススメなのが『例解 和文英訳教本シリーズ』と『京大入試に学ぶ 和文英訳の技術』を使う勉強法です。
一応全部紹介しますが、流石に全部やるとなるときつく、取捨選択が必要にはなると思うのでその辺のことも書きます。
文法矯正編
名前の通り文法知識の矯正のための本。
英作文を通してまずは文法そのものの知識を正確につけようというなかなかに硬派な本となっています。
時制のニュアンス、可算名詞/不可算名詞の話や、受験生の苦手とする冠詞も一章割いて説明をしています。
読みながら「なるほどそうだったんだ!」となるような興味深い内容が多いです。
載っている英作文の問題は英作文というよりかは英語の短文なので意外とスイスイ進むかもしれませんが解説の熟読は必須です。
公式運用編
一冊目の文法矯正編で正しい文法を身につけたら、この公式運用編でさぁ実践してみようという感じです。
高頻度の文法項目と構文のパターン、基本語彙を使って難しいことを表現する応用力、基本語彙の語法やニュアンスの習得などがこの本の主な目的となっています。
長文編
ある程度の長さをもつ英作文の問題演習書です。
英作文のテーマは12に分かれていて、和文英訳問題が48題収録されています。
48題のうち12題が京都大学の過去問です。
問題はどれも歯ごたえのあるもので、こなれた日本語を英語に訳さなければならない京都大学の英作文とはかなり相性がいいと思います。
また適宜、基礎の確認ができるような内容も挿入されているので安心して使えます。
ただし、この長文編は余裕があればやればいいっていう感じです(すでに文法矯正編と公式運用編で結構重いですからね)。
というわけで、2冊目の公式運用編が終わったあとに長文編を飛ばして、同じ著者による『京大入試に学ぶ 和文英訳の技術』に行くのはありです。
タイトル通り、京大の過去問を用いて英作文のために必要なことを学んでいくための本です。
ここまでやれば相当な実力がついているはずです。
自由英作文編もあります。
同じ著者で揃えたいという人は、自由英作文対策もこのシリーズで勉強すればいいでしょう。
日々の生活で
これは積み重ねて初めて意味が出る話なのですが、日々の生活の中で
「この単語は英語で何て言うんだろう」
「この日本語の言い回しって英語ではどう表現すればいいんだろう」
ということを逐一考えるようにするのは効果的な勉強かもしれません。
京大の英作文では、英語に直訳しようとすると意味がなんだか変になってしまうような自然な日本語の文章がしばしばでます。
どうにかあがいて英語に変換しなければいけないわけですが、その能力というのは日々の生活で日本語と英語の関係を意識することで向上するものだと思います。
京大英語は付け焼き刃じゃどうしようもない感があります(難関大はどこもそうだと思いますが)。
受験本番までまだ時間がある人はそういう地道な積み重ねにも意識を向けてみてください。
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