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新テスト(大学入学共通テスト)がいかに愚かな試みかについて

教育全般

ニュースで散々取り上げられていますが、2021年1月からセンター試験が廃止され、大学入学共通テストというものに変わります。

30年ぶりの入試改革です。

 

私はこの改革を聞いた時はどんなふうに変わってくれるんだろうと、楽しみに思う気持ちがありましたが今では失望と懸念で満たされています。

私の持論を先に述べると、大学入学共通テストの案は取り下げるべきです(もう遅い)。

 

今回は、大学入学共通テストの特徴そしてそれに付随する問題点について話していきます。

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大学入学共通テストの問題点 公平性

まずは多くの人が言っている公平性の問題について。

 

今回の改革における大きな変更点が、試験の形式がマークシートの他に一部記述式での回答が求められる点でしょう。

 

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今の所(2019年9月現在)、国語と数学I・数学IAで記述式導入予定とのこと。ちなみに数学の記述式導入は初年度では見送り。

 

記述式のほうが生徒の学力を適正に測れていいのでは?と思ってしまうかもしれません。

正直それは一理あると思います。

 

センター試験は選択式ですから、選択問題特有の”クセ”がやはり存在し、そのクセを頼りに正答できてしまう問題というのは山程あります。

 

しかし、公平性という点でみたらどうでしょう。

センター試験というのは毎年約50万人の人間が受けます。

 

今まではその50万人の答案を機械で処理していたわけです。

それが記述式になるということはそれぞれの答案を人の目でみて採点するということです。

 

これは大問題です。

採点基準は勿論あるでしょうが、その基準を50万人の答案で完全な公平性を保って適応するのはほぼ不可能です。

 

加えて別の問題として、採点ミスが多発するというのが目に見えています。

50万人の記述答案を人が採点するのですからとんでもない量の人的資源が投入されるはずです。

 

そしてなんと驚くことに文部科学省はこの採点官に大学生バイトを採用する方針を出しています!!

これには流石にたまげました…

 

模試の採点は大学生バイトがやっている場合がほとんどですが、採点ミスというのはしばしば目にします。

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私自身、高校生の時の模試で正解なのにバツだったりその逆のパターンもありました。

 

バイトというのは責任がどうしても軽くなってしまうものです。

「どうせお金はもらえるし適当に採点しよう~」という考えの大学生は必ずいます。

 

新テストでバイトを使うことになった場合、そのような大学生に採点してもらう受験生はたまったものではありません。

英語の試験が大きく変わる

今までのセンター試験の英語はマーク式で筆記が200点、リスニングが50点でした。

それが新テストではリーディングが100点、リスニングが100点となります。

 

この変更についてはいいことだと私は思っています。

 

問題は民間試験の利用です。

 

新テストで「読む・聞く」の技能を測りますが、民間試験によって英語4技能全てを測ろうというのです。

これの何が問題なのか。

経済格差による成績格差

まず経済的負担の問題があります。

高校3年生の4月~12月の期間に受けた民間試験を提出することになりますが、これは何回でも受験できるわけではなく受験機会は2回と決まっています。

 

2回までとなっているなら公平な感じがしますが、はっきり言ってこれはそこまで意味無いです。

 

どの試験でも必ず”試験慣れ”というものが存在し、英語の民間試験もその例に漏れません。

経済的余裕のある家庭は高1・高2の段階で目一杯金をつぎこみ、高校3年次の”本命”試験に向けて対策をすることでしょう。

 

今までもセンター試験・二次試験のための模試などの費用がありましたが、これに加えて民間試験の対策も必要となれば、経済格差による成績格差はさらに広まります。

 

ただし民間試験の点数を合否判定に使う大学、使わない大学、出願要件としてのみ認める大学など各大学で対応が違うのでそこは自分の志望校の情報を入手しなければなりません。

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本当に面倒くさいですね……

異なる試験をどうやって評価する?

民間試験で英検、IELTS、TOEFLなど様々な試験を使うことができます。

当然ですが、受験生全員が同じ試験を受けるわけではないでしょう。

 

となると、異なる試験の点数を一体どのように同じ土俵で評価するのでしょうという問題がでてきます。

 

「IELTS○点の人はTOEFL△点の人と同じ点数として換算します」ということができるでしょうか?

 

実際、文科省は上記の各検定と英語力のレベル(CEFR)の対照表みたいなのを使用するらしいですが、この表には特に科学的根拠などはないそうです…

 

というか科学的根拠が無いなどと言われなくてもそもそも試験の形式がそれぞれ違うのですから単純に比較ができないはずであることは容易に分かります。

 

そんな曖昧な基準で新テストを実施することに驚きです。

 

CEFRの○以上を出願要件としますというのでも受験生に対する負担は大きいのに、これが入試の点数に採用されるとなればかなり問題だと思いますね。

思考力・判断力・表現力を重視するらしいが…

文科省によれば、今回の改革では思考力・判断力・表現力を一層重視するためのものであるとのことです。

 

なるほど~って感じですけど、でもそれってわざわざ全受験生一律に実施する必要がありますか?

また、その能力って多くの大学の個別試験ですでに測られているものだと思いませんか?

 

同じようなことを何度も言いますが、私も記述式は良いと思っていますよ?

でも記述問題を導入するメリットに対して採点ミスなどのデメリットが大きすぎるのです。

 

今までのように、高校で習うような基礎的な”知識”そのものはセンター試験で問うて、その知識を使った思考力などを試す問題は大学が個別にやればいいと思います。

 

 

勿論、すべての大学がそのような出題をするわけではないというのは分かります。

しかしプレテストの問題を見る限り、あれで思考力・判断力・表現力を評価できるのかと言われるとそれもまた微妙なところなのです…

吉とでるか凶とでるか

新テスト実施年度の受験生は本当に可哀想だと思います。

日々更新・変化する情報に振り回されていることでしょう。

 

 

ここまで新テストについての批判を述べてきましたが、実は私は選択式マークシートがとても苦手でセンター試験は大嫌いでした笑

国語なんかは全部記述が良かったので京大入試は好きでした。

(※大学の二次試験では教授陣が集まって採点基準を正確に合わせている)

 

 

そんな私であっても、センター試験をどうしても実施したいというのなら(そもそもセンター試験は足切りに使うだけでいいと思っている立場です)今まで通り選択式マークシートでいいと思います。

 

公平性の損なわれる可能性が少しでもあるのであれば、マークシートによる試験でも我慢しようと思ってしまいます。

 

受験生も勿論大変だとは思いますが、先生方もとてつもなく大変でしょう。

学校で英語民間試験の対策をやったりするのでしょうか??

負担が思いやられますね。

 

ただこの新テスト、英語の理念に関しては個人的には賛同できるんですよね。

 

全く人のことを言えませんが、確かに話す・聞くの能力を苦手とする人は多いと思いますし、それを大学入試で強制的に学生にやらせれば必死に勉強する人は増えるでしょう。

 

4技能重視すべしというのはごもっともです。

でもやるなら入試システムをちゃんと整備して欲しかった…

 

一方で公平性の問題とは別に、実際これで数十年後、日本人の英語力の底上げが確認されたらそれはそれで一つの成功と言えるでしょう。

今回の入試改革、全体としては吉か凶か。それが分かるのはまだまだ先の話なのです。

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