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「ネットで全部勉強できるから大学はいらない」は嘘です

大学論

ネットの普及に伴い、勉学に役立つ情報なども簡単にネットで手に入るようになりました。

ネットがあまりに万能なせいか、稀に「ネットで全部勉強できるからわざわざ大学に行って勉強する必要はない」と宣う人がいます。

 

ですが、それはほぼほぼ誤りです(抜群に賢い人なら分からないが極々少数)。

少なくとも一般的にはそのようなことは言えないわけで、鵜呑みにしてはいけない言説です。

実験系はどうするの?

一番簡単な反論要素として、大学に行かないと実験などの実習が学べないということが挙げられます。

 

大学にある、何千万円もするような装置を自分で買えますか?

当然不可能です。

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この時点で”ネットで全部勉強できる”は偽

実験は自分で実際にやってみるというのが大事だと思います。

それにより、実験における適正な手順の遵守について身をもって学ぶことができるのです。

適正な手順を遵守していない研究は怪しい研究となってしまいます。

 

実験後のデータ分析についても同様で、一定のコンセンサスが取れている統計的分析にもとづいて実験結果を分析する必要があります。

実験実習では、それらを含めた一連の流れを大学教員のもとで自ら手を動かして学ぶことができるのです。

 

それらの手順を分かっていないと、論文を批判的に読めなくなります

手順や条件設定の怪しい研究を精査できなくなってしまうのです。

 

勿論、大学教員の指導のもとで訓練を受けたからといって、論文内の実験について適正に評価を下せるようになるとは限りません。

大学に行かず、ネットでかじった知識だけではなおさらです。

何を学べば学部卒業レベルになるか分からない

「私が学びたい分野は実験系じゃない」という方は、実験実習の話は関係ないと思われたでしょう。

 

実験系じゃないという方にも共通する話としては、を学んだら大学で勉強した人と同じことを学んだことになるか分からないということがあげられます。

 

大学生が何を学んでいるのかということを知りたくなったら一番手っ取り早いのは、どこかの大学のカリキュラムを見て、その後に細かいシラバス情報を見ることでしょう。

 

しかし、シラバスには大まかなことしか書いていません

シラバスにはその学問における重要な用語や重要人物の名が書かれているでしょうが、大学でどの程度まで掘り下げて話されているかは分かりません。

ただ、なにせ大学の講義は90分の講義ですから、ネットで少し調べてでてくる情報の範疇には収まらないことが多いはずです。

 

また、大学の先生は講義をする中で、有名な理論・研究に対する反論や最新の研究動向などについても話してくれるでしょう。

 

それらを全て独力でネットで調べられるでしょうか?

講義では、これまで大量の論文を読んできた研究者が、ある程度分かりやすくまとめた情報を学生に提供してくれているわけです。

 

素人が急にそれらの情報にアクセスするのはまず無理と言っていいでしょう。

数学や物理ならシラバス対応可?

数学や物理などなら、独学能力がとんでもなく高ければネットや書籍を用いて自分で勉強することは可能かもしれません。

 

これは自然科学という学問の特性によるものです。

 

例えば、大学1年生の受講する講義で「微分積分学」がありますが、シラバスに書いてある項目を見れば学部生と同様の勉強をすることは可能でしょう。

 

なぜなら、自然科学は理論が覆ることが(人文科学・社会科学に比べて)少ないからです。

特に数学はその性質が強いです。

 

大学1年生が学ぶ微分積分の内容について「実は〇〇の部分が間違っているという論文が最近でたので紹介します」ということはまずありません。

学ぶ内容は(どこの大学であろうと)一貫しているわけで、そういう意味では取り掛かりやすいかもしれません。

 

ただし、これは当然ながら独学を前提としています。

学年があがるにつれて学ぶ内容が難しくなっていくなかで、完全独力で学部生と同じように過程を修了できる人はごく少数に限られるでしょう。

調べるワードの選定

”ネットで全部調べたらでてくる”とは言っても人間は全く知らないことを調べることはできません。

あるワードについて調べる時は、少なくともそのワード自体(名称)を知っていることが前提です。

そのワードを調べることで新たな未知のものに遭遇し、また調べ…ということを地道に繰り返していくことになります。

 

ではワードはどうやって知るでしょうか?

これらは講義などで先生に授けてもらうことになります。

本を読んで得られることも当然ありますが、大学の先生が話すことで本に書いてないことは多々あります。

 

その場合、そのワードについては本を読んでもカバーできず、さらにはそのワード自体知らないので調べる機会すら発生しないということになります。

 

また、そもそも日本語の定訳がついていない概念などもあるため、英語が不得手な人の場合、そのワードにありつく確率はいよいよ低いものになります。

どの論文をあたればいいか

ある学問について、自分の興味が明確になったとします。

ネットや書籍で自分なりに基本的な知識は身につけ、いざ論文をあたろうと思った時「どの論文あたればいいの?」となると思います。

 

大学であれば、先生に相談すれば余程コアな話題か先生の専門から遠すぎない限り、まずはこの論文から読んでみようかという旨のアドバイスを貰うことができます。

 

お目当ての論文にたどり着くためには大学に行かなきゃ絶対無理!というわけではないですが、いざ論文をあたろうとした時の手間が大学にいるかいないかで違いすぎます。

実際独力で勉強しようとした時に、その手間の多さ故に途中で勉強を断念してしまったり、いつまでたっても自分の欲しい情報が手に入らない状態に陥ってしまう人は多いと思います。

ネットで調べてもでてこないことは余裕である

根本的な話ですが、ネットで調べても出てこない事項はあります

これはもう何度も経験しています。

 

講義内で説明されたことがよく分からない→ネットで調べても出てこない→書籍をあたる

の流れはよくあります。

 

「最終的に書籍にあたればいいんじゃん」となるかもしれませんが、これだと書籍が理解できなかったら詰みます。

 

その場合は先生を捕まえて質問するという手段がとれますが、大学生でなかったらその手段はとれません。

周りにその分野に詳しい知り合いがいれば別ですが……

無尽蔵のモチベーションがあれば

ここまで話してきたことを振り返ると、究極のところ実験以外に関しては無尽蔵のモチベーションがあればネット(と書籍)があれば理論的には勉強可能です。

 

しかし、上述してきたように大学教員の手ほどきがない環境では、大学教員と同じように論文を読み漁らない限りは学部生が得る知識にたどり着けない可能性が高いです。

また大学は分からないことを質問しようと思えばできる環境ですし、専門家の集う場所なので情報の信頼性も高いです。

さらに専門家からのフィードバックが受けられるというのは大学ならではの強みです。

 

「ネットがあれば大学はいらない」はどう考えても過言なのです。

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