先日、とある国立大の理学部編入試験を受けました。
編入試験で大学名を出すと、見る人が見たら余裕で特定可能(合格者数名なので)だと思うので、申し訳ないのですが名前は出さないことにします。
別に難関大ではないので、入試問題のレベルは簡単でしたし、おそらく受験者のレベルも別に高くはなかったと思います。
しかし、編入試験という情報の乏しすぎる試験において、自分なりに計画を立て、大学時代の専攻と全く関係ない分野の編入試験に合格できたのは良い成功体験になりました。
ここでは、編入試験を受けるに当たって意識こと・大変だったことや心構え、後はただの試験の感想を書きます。
文学部卒で受けれるのか
編入試験について知らなすぎて、最初は「そもそも文学部卒で理学部の編入試験受けれるの?」ってところから不安でした。
しかし、募集要項を見た限り、特に「どこの学部を出たか」に関しては言及はなかったです。おそらくどこの大学もそうなのでしょう。
ただ言っても文学部卒ですから、大学の先生から「何しに来たんだ…?」とか思われるのかなぁとかは勝手に思っていました。
後述しますが面接もあったので、面接でホントにやる気ありますアピールをするのもいいとは思いましたが、それよりやはり試験で満点近くとって、実力でやる気を示そうと思いました。
そういうわけで「勉強頑張らないとなぁ…」と思いつつまずは過去問チェックに入っていきました。
過去問を見るが……
試験範囲は当然、大学でやるような物理や数学なのですが、過去問には、見たこともない記号が散見されました。
何を聞かれてるのか、どのような計算をすれば良いのか分からないのです。
パッと見で感じたのは、物理が分からないというより数学が分からないということ。
ただそれでも、数問は高校物理の知識で解ける問題があった(特に力学)ので、力学は取り敢えず後回しにして、まずは数学や電磁気学を頑張ろうということになりました。
とりあえず教科書を買い、教科書と照らし合わせながら、そもそもどういったことが問われているのかを知る作業から始めました。
そしてどの分野が頻出なのかを知るために、過去問を10年くらい遡り、出題された分野を表にまとめて勉強の大まかな優先順位を決めました。
受ける大学のシラバスを見よう
教科書に関してですが、教科書選びはかなり重要な気がします。
教科書選びでは、自分の好みではなく、受ける大学の学生達が授業で使っている教科書をメインに使うことを意識しました。
あくまでその教科書メインで勉強し、分からなかったらもう少し分かりやすそうなものに手を出すという感じです(電磁気学は挫折して別のを使いましたが……)。
後からわかったことですが、過去問にはそれらの教科書に載っている問題と全く同じような問題も出題されていました。
大学のHPからシラバスに飛び、物理学専攻の学生が使っている教科書を全てチェックし、試験範囲に関係しそうな教科書を購入します。
ただここで悲しいのが、編入試験は「ここの範囲からしか出題しません!」ということが明記されておらず、過去問から大体の範囲を予測するしかないということです。
勉強の計画が非常に立てづらかったのですが、勉強を進めるうちに「この問題はこの範囲の問題だな」ということがわかってくるので、確実ではないにせよ、徐々に出題の予測範囲は狭まっていってくれました。
いざ勉強開始
取り敢えず数学
最初の2週間くらいはずっと数学をやってました。
大学生の頃に、趣味で大学範囲の数学を少しかじっていたのが完全に役立ちました。
行列などは完全に復習って感じでスイスイ進みました。
私には純粋数学ができるような才能はひとかけらもありませんが、数学を道具として使うことには喜びを感じます(数学者に感謝)。完全に高校数学の延長として勉強を進めることが出来ました。
しかも物理学の場合はそれが現象とつながります。
「式でこうだから現象の動きはこうなる」というふうに、現象の理解のために数式が役立ちます。その事実に直面できることがモチベのひとつでした。
とは言ってもスムーズに勉強が進み続けたわけではなく、ベクトル解析など、これまでに全く勉強したことのなかった分野に関しては結構な時間を要してしまいました。
完全初学の電磁気学
電磁気学むずかちい……
未だに全然理解できていないことがたくさんあります。
ただ、ベクトル解析の習熟度が電磁気学の理解に直結すると思います。
電磁気学が分からないというよりも、数学がわからないという場合の方が多そうだと感じました。
余談ですが、高校物理にでてくる公式を自分で導出できるようになるのが地味に楽しかった。
舐めていた力学
力学に関しては「力学なんて運動方程式書いて、微分方程式解いたら終わりや!」という感じで完全に舐めていました。
実際、猛スピードで教科書を進めていました。
ところが、慣性モーメントなどという高校物理でやらない範囲が出題範囲に含まれていることに直前になって気づき、結局力学を全範囲確認し終わったのは試験5日前とかでした。
もちろん、力学の教科書を進めるのと並行で他の範囲の問題演習はしていましたが、力学だけは間に合わず、圧倒的問題演習不足でした。
過去問を解くが
いざ過去問を解いてみると、年度によっては1,2問ミスでしたが、ある年では6割くらいしか解けないなど、やはり穴は目立ちました。
しかも1,2問ミスとか言っていますが、大学受験と違って過去問に解答解説がないので自分の答えが本当に合っているかは分かりません。
過去問演習したところでフィードバックがないんじゃなぁ…と思ったので、過去問は傾向を知るためという感じで、専ら教科書の問題を解くようにしていました。
ただそれでも、初めて通しで過去問を解いたことで時間制限がかなり緩いことに気づけたので、本番では計算をゆっくりやればいい、と気持ちに少し余裕ができました。
そんな感じで、教科書の問題やネットに落ちてる典型問題の演習をしつつ勉強は終了。
「受験は運ゲー」がモットーなので、あとはもう運頼みでした。
試験本番
(以後ただの試験感想です)
筆記試験
本番当日、自分が少し緊張していることに気づいてびっくりしたのですが、なぜ緊張しているのか自分に問うた結果「面接ヤダヤダヤダヤダヤダ」とのことでした。
人と話さなきゃなのか…と考えると気分がネガティブになりますし、何より自分が何か変なことを言うんじゃないかということが不安でしょうがなかったです。
時間ギリギリで大学に到着し、まずは筆記試験を受けました。
難易度に関してはめちゃくちゃ易化してたと思います。
「これ満点前提で面接で決めるんか…….」と思いながら解いてました。
無事、数問解けませんでした。計算が合わず、いくらやってもありえない答えがでて諦めました。落ちたかな―って思いました。
面接
筆記試験後、いくらかの休憩をはさんで面接が始まりました。
面接は普通のことしか聞かれませんでした。
院試ならまだしも編入試験の面接はそんな突っ込まれたこと聞かれない(聞きようがない)と思います。
まず、なぜこの大学か/なぜ物理学をやりたいのかを聞かれたので、家から近いから/物理学がどうなっているのか知りたいから、と答えました。
「あー、普通は〇〇の研究がしたいとか言って来るんですけどねぇ…」と言われました。印象はかなり悪かったと思います。
院試なら分かるんですけど、編入試験をクリアしてまずは学部で勉強したいというのが自分の中ではあったので、「研究かぁ……」とはなりましたが、確かに大まかな方向で「特に〇〇に興味がある」くらいは言ったほうが良いと思います。
大学で何してたかとか聞かないんだなとは思いましたが、私の専攻は物理と関係ないですし、聞くことないのかなと。
試験の出来についても問われたので、解けない問題があったことを伝えました。
なぜ解けなかったと思うかの更問いが来たので、何らかの大きな勘違いをしている気がすると答えた気がします。
するとさらに、時間があれば解けたと思うかと問われました。
時間の問題ではないと正直に答えました。
後から思ったのですが、このやり取りで、私が休み時間中に試験問題を見直していないことが明らかになり、さらに時間があっても解けないと言っているので、物理の理解が足りていないことも露呈しています。
休み時間中は「筆記試験終わった~!(二重の意味で)」といった開放感の元、大学構内をお散歩してたのですが、この時間で問題を見直して「ここを勘違いしていたから解けなかった(本来は解けたアピール)」を言うための準備をすべきだったかもしれません。
その後はもう質問というか、「うちのカリキュラムはこんな感じだけど大丈夫?」みたいな感じで先生方がお話してくださり、こっちはウンウン聞いてるだけでした。
以上のように、もうなんか色々ミスったのですが、受かりました。
受験は運ゲーです。
ちなみに合格したので入学金を払えば4月から通えるのですが、ある理由で入学を辞退する可能性が出てきました。
私が入学辞退した場合に追加合格するであろう一人の受験生にはストレスを与えて申し訳ない気持ちはありますが、もう少し自分と向き合い、将来のことを考えたいと思います。
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